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はつ恋の鈍い痛み

(ダイゴさんが小学生くらいの過去の話で、ずいぶん乙女ちっくです)ミクリは誰から見ても端麗な容姿をしており、実際彼の周りには女の子の姿が絶えなかった。たくさんの女の子に囲まれながら一人ひとりに砂糖菓子のような甘い言葉をかけ、嬉しそうに頬を染め…

ひみつさえなければ

ユウキくんがミクリの恋人のダイゴさんに片思いをしているお話。「ダイゴさんのその指輪って、何のためにしてるんですか」不意に隣を歩いていたユウキに話しかけられて、ダイゴは自分の手を広げた。ダイゴの左右の人差し指と薬指には、4つの指輪がはめられて…

Resplendissamment!

彼は、甘いものを好まない。幼い顔立ちをしている割に、ふわふわのシュークリームもとろけるようなプリンも、ミルクティーだってみんな一口楽しんでから「もう充分だよ」と言って残してしまう。幼い頃から共に過ごしているミクリは一緒にいる中でそれらのこと…

深夜2時の薬

灯りの少ない道路を、気持ちだけは高速で車を走らせる。普段はガーランドが運転するのだが、ウォーリアオブライトも一応免許証は持っている。ゆったりとした肌触りの良い運転席のシートはガーランドに見合う特注品で、深く腰掛けるとかすかにガーランドのにお…

ドラッグストアに推しCPいた2

こんにちは、モブ田モブ子です。どこにでもいる普通のフリーター、近所のドラッグストアで深夜帯専属登録販売者をやっています。一ヶ月ほど前、強烈なインパクトを残した屈強なおじ様と銀髪のお兄さんがご来店されてからというもの、どんなに個性的な(オブラ…

ドラッグストアに推しCPいた

こんにちは、モブ田モブ子です。どこにでもいる普通のフリーター、近所のドラッグストアで深夜専属登録販売者をしております。今日もいつも通りレジをして品出しをしてまたレジに入る、そんな穏やかな日でした。「いらっ…………?!い、いらっしゃいませ………

burgundy

目の前に整列する幼年騎士団の中に、一瞬で彼を見つけた。まだ柔らかな丸い頬と未熟で華奢な身体に釣り合わぬ獰猛な眼差しでこちらを見る少年を、ウォーリアオブライトが見間違えるわけがない。「以上をもって、幼年兵の入団式を終了とする!」壮年の騎士の一…

rose

寒い冬も終盤に近づいた頃、町は賑わっていた。一年に一度、思いを寄せる異性に花やチョコレートを贈る日が訪れていたからだ。ウォーリアオブライトも部下たちや上司、コーネリア王に感謝の言葉を述べ、帰路につく。いつものように馴染みの花屋で花を買うと、…

orchid gray

コーネリア城へ続く路地がぼんやりと白く霞んでいる。人の姿はまだまばらで、鉄靴の硬い音が朝露に濡れた煉瓦の中に消えてゆく。「きれいな花が入ったんだ。どうだい、素敵だろう?」穏やかな初老の店主が珍しく声をかけてきた。見ると、可憐な白い花々が、環…