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御者の俺

俺はバンジークス家の御者!いつもと同じようにお迎えに上がったら、何だか気まずい雰囲気のバロック様とお弟子様が乗り込んできたぞ!まぁこの2人はしょっちゅう喧嘩してはカラッと仲直りしてるのが常だし、俺の仕事は安全にお二人をお屋敷へお届けすること…

証拠はすべて揃っている

「ちょっと成歩堂!!!」「亜双義の好きな人って誰?!」その日、なぜか日直を押し付けられた僕は億劫な気持ちで日誌を書いていた。これが終われば開放される、最後は一言だけ!そのタイミングで割れんばかりの声が響いたのである。「ええと……いきなり何?…

精一杯の祝福を(前編)

平日の昼下がり、ウォーリアオブライトは自宅で勉強に取り組んでいた。ガーランドと偶然再会を果たしたのはつい半年ほど前の冬で、世間一般では高校生に相当するウォーリアオブライトは天涯孤独の身であった。児童保護施設をその日のうちに抜け出し、転がるよ…

cosmos

「これを、私に……?」常に揺るぎない光を映す瞳がぱちぱちと瞬く。彼の———光の戦士の手の中には、あたたかいピンク色のリボンで束ねられた小さな花束があった。「そう、ライトさまかみのけしろくてきれいだから、しろいお花あつめたんだよ」「このリボン…

夜明け前の蟠り

「どうして世界を変えようとしたの?」亜麻色の髪を風になびかせて、シンオウの女帝はアカギに問うた。答えるのも馬鹿らしい質問に、アカギはうんざりして思わず舌を鳴らす。なぜ周りの人間はこのような愚か者ばかりなのか。さっさとこんな世界を変えるべきだ…

春色の風

昼下がり、うとうととしだした意識を少し醒まそうとミクリがキッチンに立ったとき、めったに鳴らない呼び鈴がカランと音を立てた。今日はコンテストの審査員として呼ばれていて、久しぶりに客観的な立場でコンテストを隅々まで見ることができたので気分が晴れ…

スピカの涙

「今日は星が綺麗な夜だから、久しぶりに散歩でもしないか」ミクリに誘われてルネの夜道を歩くことになったのは、半時間ほど前だった。今日の夜は、ミクリが仕事終わりに寄ったスーパーで見つけたスモークサーモンとモッツァレラチーズの軽いサラダをつまみ、…

good morning my dear

「おや、それで終わりなのかい?」「! お、起きてたなら言ってよ!」愛しい君の挨拶で起きる朝(おはようわたしの愛しいチャンピオン)